研究概要 |
平成22年度は経路ポートフォリオを用いた配車配送計画問題の定式化を主たる研究項目とした.経済学における現代ポートフォリオ理論を道路ネットワークに適用した研究において,複数ODを考慮する必要がある都市内配送に適用した研究は過去にない.一方本研究で適用を検討している配車配送計画問題は,これまで多くの研究蓄積があるが,各OD間で複数の経路を同時に取り扱った研究は過去にない.従ってこれらの手法を同時に組み合わせる経路ポートフォリオを用いる配車配送計画問題の定式化にあたり,現代ポートフォリオ理論に関する既存の研究成果を効果的に利用するため,経済学・情報学の研究者に知識の提供を依頼した. 本研究で構築する経路ポートフォリオを用いた配車配送計画問題に関する評価指標は先行研究がないため,平成22年にアメリカ・ミネソタ州で開催されたINSTR(International Symposium on Transportation Network Reliability)において本研究のコンセプトを発表した。そこで他の研究者もポートフォリオ理論の信頼性解析への適用する検討を始めていることが明らかになった。すなわち本研究の着想が最先端にあることが活発な議論のなかで明らかになった。学会における議論を踏まえ指標の改善に反映させることとした。同様に国内の学会にも参加し,そこでの積極的な議論を通じて指標の構築・適用に関する知見を得た. 本研究では来年度以降実際の都市内道路ネットワークを用いてケーススタディを計画している。本年度は都市内道路ネットワークを作成し、VICSの旅行時間データの収集を行った。来年度以降作成・収集したネットワークおよび旅行時間データを用いて解析を行う。
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