研究概要 |
本研究は,屋外広告物の都市景観への影響,現行の規制誘導・活用施策による効果を客観的に把握するとともに,現行の施策の意義と問題点・限界を明らかにすることで,良好な都市景観形成に向けた,より効率的かつ効果的な屋外広告物施策を提案することを目的としている. 研究実施計画に基づき,本年度は,昨年度に構築した屋外広告物の種類,量,分布などに関する現況を空間的に把握することができる空間情報データベースを活用して,屋外広告物の都市景観に与える影響や,屋外広告物の規制誘導・活用施策の都市景観形成効果を定量的に検証できる評価フレームを確立し,調査によって得られた実証データに基づいて定量的に分析した.具体的には,空間情報データベースのデータを用いて共分散構造分析を行うことで,条例改正を通じた規制強化による屋外広告物の設置状況変化の因果構造を分析した.その結果,条例改正による規制強化が"法令遵守志向"や"広告景観改善志向"により,改正条例の目的に沿って広告景観の改善に正の影響を及ぼしている一方で,"規制対象外広告掲出志向"により,規制強化の意図しない負の影響も存在していることを明らかにした.また,被規制者が簡易屋外広告物の撤去による身近な景観改善を志向することで,ひいては,屋上や壁面に設置された大型の固定型屋外広告物の面積・色彩・設置高さ・設置位置の改善を導く可能性があることを明らかにした. 得られた知見に基づき,より効率的かつ効果的な屋外広告物施策を提案するとともに,良好な都市景観形成のための屋外広告物ガイドラインを提示した.
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