本研究では、京町屋を含む密集市街地における建造物群を対象に、地上LiDARと航空機LiDARから3次元建物モデルを自動生成する手法の開発を目的としている。平成23年度は下記の内容を実施した。 1.地上LiDARからの建物属性の自動抽出:伝統的建造物群保存地区における格子窓の自動抽出を試みた。 2.航空写真からの建物領域抽出手法の開発:密集市街地における影領域を含む建物領域の抽出精度を向上させるアルゴリズムを開発した。 3.航空機LiDARと航空写真を併用した建物の三次元モデリング:密集市街地における建造物の三次元ワイヤーフレームモデルの自動生成アルゴリズムを確立し、京都市東山区に適用して有用性を検証した。 4.航空機LiDARと航空写真を併用した都市内の緑視率、囲繞(いじょう)度の推定:景観工学における定量的評価指標の効率的作成支援として、航空機LiDARと航空写真を併用した緑視率、囲繞度の推定アルゴリズムを構築した。 5.地上近接写真写測量を用いた建物の3次元モデリングにおける効率化:京都市東山区の密集市街地を対象に、多数のステレオペアを同時に処理する接続標定を実現し、またモデリングの際に支障となる大きな誤差を持つパスポイントを検知し除去する方法論の構築を試みた。また建物の三次元モデリングのために、複数の建造物上の平面領域を精度よく検出することを目的とし、建造物の平面幾何条件と画像の色情報を利用した平面領域の輪郭を抽出する方法を検討した。
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