気候変動による水資源への影響が危惧されるなか、国土交通省等により1級河川を中心としてこの影響評価等が行われている。本研究の対象地域である沖縄本島では検討中であり、水需給バランスの評価には至っていない。特に沖縄は昔から水不足に悩まされていた地域であり、かつ水を多く使う観光業を主産業としている。本研究では気候変動による降水特性の変化と社会の変化に関する水需要予測モデルを構築することにより、給水制限の可能性について検討した。そして、最も基本的な家庭での節水が最も効果的であり、実行可能な水量であることを明らかにした。給水制限の可能性が示唆された沖縄本島を対象として、生活者参加型の渇水リスクマネジメントを検討するためのアンケート調査を実施した。水に関する意識調査より、節水に対する社会的規範意識が高いこと、自ら及び観光客も節水すべきであるという意識を持っていることが示された。しかし、水資源や水環境に関する情報への接触と節水意識との間には強い関係は見られなかった。また、意識調査結果を斜交解の因子分析を行うことにより、「節水態度」、「情報接触」、「行動評価・規範」の3つの潜在変数が抽出された。また、定量的な情報を与えることにより、節水意識に有意な変化をもたらすこと、この変化には年代差があることが明らかになった。
|