研究課題
公共空間における施設設計や流動制御のために、群集内における詳細な人物の動きの把握に対する需要が高まっている。従来は一般的に、ビデオカメラによる観測が行われてきた。ビデオカメラによる観測では、低コスト、目視判定の容易さ等が利点である一方、群集の状況下では、個々人の動きを自動認識することは困難である。本研究では、画像の色情報に加え、距離情報を用いて、色の変化や人物の形状をモデル化し、歩行者挙動のシミュレーションモデルも付加し、時系列モデルの中で統合することにより、群集内での人物の動態認識手法を構築した。具体的には、ステレオビデオカメラにより、動画像から距離情報を取得するため、ステレオマッチング手法の整理・実装を行った。ステレオビデオカメラによれば、色情報と距離情報を同時に取得することができる。そのため、両情報に対する前フレームと現フレームのマッチング手法のレビューを行い、人物の動態認識手法への要件を整理した。要件に従って、色分布の類似度と形状モデルと距離情報の類似度をモデル化した。このモデルを、時系列分析において用いられる一般状態空間モデルに尤度として導入した。さらに、人物挙動特性を考慮したシミュレーションモデルのレビュー・整理を行った。特に、公共空間で適用可能性に着目し、人物の相互作用等をも考慮した離散選択モデルの適用可能性を評価し、モデルの改良を行った。この改良モデルを、前述した色情報と距離情報のモデルと統合することにより、人物の動態観測手法の構築を行った。提案手法を、屋外の比較的少人数が存在する対象領域において適用し、その基礎性能の検証を行った。その結果、十分な追跡が可能であることを確認した。
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測量
巻: Vol.61、No.1 ページ: 8-13
International Archives of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences
巻: Vol.38,Part4(CD-ROM)