研究課題/領域番号 |
22760401
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
布施 孝志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (80361525)
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キーワード | モニタリング / 画像認識 / 計測工学 / 交通工学・国土計画 / シミュレーション工学 |
研究概要 |
公共空間における施設設計や流動制御のために、群集内における詳細な人物の動きの把握に対する需要が高まっている。従来は一般的に、ビデオカメラによる観測が行われてきた。ビデオカメラによる観測では、低コスト、目視判定の容易さ等が利点である一方、群集の状況下では、個々人の動きを自動認識することは困難である。本研究では、画像の色情報に加え、距離情報を用いて、色の変化や人物の形状をモデル化し、歩行者挙動のシミュレーションモデルも付加し、各モデルを時系列モデルの中で統合することにより、群集内での人物の動態認識手法を構築した。 本年は、過年度の基礎実験により明確化させたシミュレーションモデルの課題に対して、離散選択モデル、エージェントシミュレーション、セルオートマトンモデル、物理法則を応用したモデルを比較した。また、色情報と距離情報による尤度、シミュレーションモデルの改良を行った。尤度の改良においては、人物を表現する楕円体モデルへの投影方法、および観測情報の識別手法を開発した。シミュレーションモデルの改良においては、従来のモデルにおいて導入していた人物の目的地の項目が取得困難なことから、目的地を含まないモデルを構築し、比較検討を行った。さらに、追跡に加えて、初期フレームにおける人物の出現モデル、自動抽出手法を検討した。開発に先立ち、物体認識手法のレビューを行った。その結果に基づき、色・距離情報から人物の存在を確率的に表現する手法の基礎を開発した。 提案手法を、駅構内で撮影した実動画像に適用した。適用対象は、朝ラッシュ時の人物の動きが錯綜する状況である。その結果、改良前手法と比べ、性能の向上が見られたこと、および十分な追跡が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過年度の実験結果に基づき、本年度はその課題に対する改良を予定通り行った。改良手法に対しても、多数の性能評価を行っており、十分な結果を得ている。さらに、より複雑な状況に対しての実データを取得し、そのデータに対しても改良手法を適用し、十分な結果であることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで開発した各モデルに対して、抽出・追跡の全体の枠組みの中での整合性を考慮し、より一般化した手法への拡張を推進する。さらに、提案手法により得られた人物の行動情報を用いて、現場での応用可能性を検討する。実際の適用を通して、有用性の確認も行い、その結果を社会に還元していく。
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