研究概要 |
普通エコセメント,フライアッシュおよび再生骨材Mを使用したコンクリートの強度特性について,水セメント比の条件を変化させた各種実験を行うことで,超高強度コンクリートの領域における特性までを確認した。また,高炉スラグ微粉末及びフライアッシュを比較的大量に混合したコンクリート(これを三成分系コンクリートと呼ぶ)の力学性状,乾燥収縮性状に関する実験を行った.さらに,フライアッシュの外割混合によるASR抑制効果について検討した。 その結果,以下の知見を得た。再生骨材Mに起因する強度低下は,圧縮強度が60N/mm^2以下の領域で比較的小規模に,60N/mm^2を超える領域で顕著にあらわれた。これは,両領域でモルタル部分と骨材部分の破壊の順序が逆転するためである。また,フライアッシュを外割混合することで再生骨材Mに起因する強度低下が緩和される場合があること,および静弾性係数と割裂引張強度の特性を明らかにした。 高炉スラグ微粉末を内割り混合した三成分系コンクリートは初期強度は低いものの,長期材齢では無混合コンクリートよりも高い圧縮強度発現を示し,再生骨材コンクリートにおいて高炉スラグ微粉末内割り,フライアッシュ外割混合することで,普通骨材,再生骨材品質による強度低下を低減できる可能性が示された。また,本実験の範囲内において三成分系コンクリートの材齢56日までの乾燥収収縮率は800μ以下となり,良好な収縮特性を示した。 フライアッシュを外割混合することで十分な圧縮強度性能を保有しつつ,ASRに対する抑制効果を兼ね備えることが明らかになった。フライアッシュ外割混合コンクリートは,組織が緻密化することにより水がセメントペーストに固定化された状態となり,初期の反応を終えた後の水を介した反応性骨材とアルカリとの二次的な接触が減少したことが,ASRによる膨張を生じにくくさせた一つの要因として考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,長期の耐久性試験を実施するとともに,再生骨材を使用した三成分系コンクリートの強度特性を明らかにする予定である。さらに,これらの実験結果を基に再生材料コンクリートの高機能化を指向した最適調合則の確立を目指す。 現在のところ,研究計画の変更及び研究を遂行する上での問題点等は発生しておらず,今後も研究計画通りに遂行予定である。
|