研究概要 |
橋梁下面や密集地域のビル外壁など日射が当たらないコンクリート構造物外壁の非破壊検査を行うため,アクティブ赤外線サーモグラフィ法の確立を目指した.平成23年度は,1.レンズ素材の選定と遠距離加熱手法の構築,2.パルスフェーズサーモグラフィ法による定量的評価手法の構築,3.コンクリート試験片への適用を行った. 1.レンズ素材の選定と遠距離加熱手法の構築遠距離加熱を行うために必要な,赤外線を屈折または反射させる照射装置の構築について検討した.レンズ候補素材6種類に対し,分光透過率を考慮した理論計算:及び実験を行い,コンクリートを加熱する場合の屈折用レンズに適した材料を選定した結果,硫化亜鉛製レンズが適していることが分かった. 2.パルスフェーズサーモグラフィ法(PPT法)による定量的評価手法の構築検査表面の温度ムラの影響を受けずに欠陥部を判別するため,従来はCFRP薄板などに用いられていたPPT法を,熱拡散が遅いコンクリートに適用する方法について検討した.PPT法によって欠陥検出を行う時に用いる温度データの時間帯について調査した結果,最大温度差時間付近の時間帯が適していることが分かった。最大温度差時間が欠陥深さと欠陥半径に依存することと,欠陥検出に適した時間帯の選択方法を組合せて,欠陥深さ及び欠陥半径の定量評価手法を構築した. 3.コンクリート試験片への適用前年度及び今年度構築した加熱手法及び欠陥検出手法を,実在構造物を模擬した試験片に適用し,その有効性を確認した.本手法は,遠赤外型または黒体型ヒータを使用し,硫化亜鉛製の屈折レンズと反射板を組合せた照射装置により赤外線を対象物に投影する.PPT法を利用した欠陥検出方法を適用し,温度ムラの影響なく欠陥を判別できる.
|