研究概要 |
環境配慮型CVSの開発である研究目的を達成するため,現状・実測調査及びアンケート調査による現状把握,エネルギー調査及びシミュレーションによる数値解析を行った.以下に得られた成果を簡潔にまとめる. 1)建築・設備仕様や運用状況を統計的に整理し,断熱・開口仕様では全国画一の標準仕様が幅広く適用され,運転モードでは特に中間期に各店舗で大きな違いが見られた. 2)独立店舗(n=102)を対象とした2009年度の年間電力消費量は平均で1034[kWh/m^2・年],店舗間の差は最大で487[kWh/m^2・年],築8年以下では年数に応じて電力消費量の増加が確認された. 3)電力消費量に対する要因分析に基づくCVSの電力消費予測モデルを作成し,独立店舗を対象とした年間及び月間(冬期)の重回帰式では予測精度が比較的高かった. 4)CVS特有の商品管理上の各設定温度や空調方式等の違いが及ぼす温度分布への影響を分析し,店舗Nの温度差は8[℃]前後かつ最大で10[℃]以上,店舗Sの温度差は5[℃]前後であることが確認された. 5)CVS特有の電力消費比率を示し,系統別では動力系が僅かに上回り,分類別では空調が全体に影響を与え,機能別では必要機能が全体の2/3程度を占めることがわかった. 6)CVS特有の年間エネルギー消費原単位を示し,店舗Nは独立店舗の平均的な消費原単位,店舗Sはその3割減に位置しており,CVSの消費量は住宅の8~10倍,消費原単位は5~7倍に相当していた. 7)CVSに適用可能なエネルギー効率の評価方法を提案し,全体PUE-Cは季節に応じて変動しながら1.2~1.7の範囲になり,これを基に各店舗で必要なエネルギー削減に向けた対策が明確になる. 8)地域性と実行性を考慮した上で,空調負荷に焦点を当てて建築的対応かつ運用改善による削減効果を定量化し,各対策を全て総合した場合,約50[%]の削減効果を期待することができる.
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