研究概要 |
22年度は,「IEQ→覚醒状態→作業効率」という一連の因果関係を系統的に明らかにするため,「IEQ→覚醒状態」と「覚醒状態→作業効率」の二段階に分けて実験を行った。23年度は,引き続き「IEQ→覚醒状態」に関する実験を行うとともに,前年度実施した「覚醒状態→作業効率」に関する実験の結果の分析を進めた。 「IEQ→覚醒状態」に関する実験については,前年度と同様に室温・換気量・照度が調節可能な実験室において,計6ケースの環境条件を設定し,被験者の覚醒状態を調査する実験を実施した。ただし,22年度の被験者が12名であったの対して,23年度は被験者を24名に増やした。実験中,被験者には主として学習用の映像講義を視聴させ,覚醒状態をアンケートと皮膚コンダクタンス(SC)計測によって評価した。アンケートでは,覚醒状態を「エネルギー覚醒(EA)」と「緊張覚醒(TA)」の二軸で評価した。その結果,室温22℃では28℃に比べて有意にEAが高くなり,28℃・低換気量・低照度の複合条件では基準ケース(25℃・30m3/h/人・300lx)に比べてTAが有意に高くなることが明らかになった。また,SCの測定結果は,EAの結果との良い対応がみられた。さらに23年度は,新規に室温を変動させた条件での実験も実施したが,45分周期で室温を変動させた条件で,室温を一定に保った条件よりもEAが高くなる傾向がみられた。 一方,「覚醒状態→作業効率」に関する実験結果の分析を進めた結果,EA・TAともに作業効率に有意に影響を与え,EAが高くなるほど作業効率が上昇し,TAが高くなるほど作業効率が低下することが明らかになった。
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