研究概要 |
本年度は,対象地域の選定,犯罪発生マップの整理,カーネル密度推定画像からのイベント発生点の逆推定手法に関して研究を行った.対象地域の選定のポイントとしては,都市構造が大きく異ならないことや,統計的な有意性の確保,犯罪発生分布の多様性などいろいろな要因を考慮して,京都市伏見区中心部を対象地域とした.それに併せて対象地域で必要なGISデータの整備と,ひったくりに関する基礎的な解析を行った. 申請者は京都府警察本部ホームページにある京都府内全ての犯罪マップのデータを過去2年以上蓄積しており,そのデータを用いて以降の分析に必要な基礎データを構築した.地図画像から四半期毎の犯罪マップを用いて,犯罪発生地点と犯罪発生密度のデータだけを,画像処理ソフトや画像解析プログラムにより抽出した.そして,抽出された犯罪発生密度の地図を重ね合わせ,罪種別に過去の犯罪発生密度の総和をもとめて可視化を行った. 整理した画像データを用いて,犯罪発生場所が示されている街頭犯罪データからカーネル密度関数のイベント点とパラメータ推定を行う手法を研究した.推定手法は,侵入犯罪の犯罪密度と発生点の数が与えられたときに,データの発生密度と最も良く整合する犯罪発生密度をもたらす,複数の犯罪発生点の位置を求める問題として定式化できた.この問題を,非線形計画法とメタヒューリスティクスの二つを用いて解き,点数が25点程度までであれば,実際のイベント点の発生位置にかなり近い推定を行うことができることを確認した.
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