本研究課題は、京都・洛西ニュータウンにおけるニュータウン全体レベルの住民参加型まちづくり活動組織の役割について、組織レベルの活動が、個人のまちづくり活動にどのような影響を与えるのかについて分析を行った。ニュータウンレベルの住民参加型まちづくり活動組織に関わる構成員のまちづくり活動の履歴を分析することで、当該組織に直接関わりのないまちづくり活動を新たに始動している場合が多いことが明らかになった。 これらの活動については、①ニュータウン内だけではなく、ニュータウン周辺地域の地域資源を対象とする活動、②ニュータウン内の特定住区の地域資源を対象とする活動に2分される。①については、ニュータウン全体レベルのまちづくり活動を推進する中で、ニュータウンが周辺地域の連携拠点として機能する必要性を認識したこと、②については、ニュータウン全体レベルのまちづくり組織においては、特定地域の資源の活用を図る活動を始動することが困難であることを認識したことが、それぞれの活動が始動するに至った要因であることがわかった。また、これらの活動には、ニュータウンレベルの活動組織に一時的に参加していた居住者が構成員になっている場合が多いことも明らかになった。 さらに、ニュータウン全体レベルのまちづくり活動は、基本的には無償のボランティアとして事業に関わることを前提としており、このことがニュータウン内の事業者との連携を促進できない要因になっていた。この課題を解決するために、アクションリサーチとして、事業者とまちづくりの連携を図るNPO法人を2013年8月に設立し、実験的に事業を実施することで、タウンセンターにおける買い物支援サービス、コワーキングスペースの開設、ニュータウン周辺地域との連携拠点という、タウンセンターの付加価値向上に資する空間やサービスの提供が始動するに至ったプロセスを明らかにした。
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