本研究は、個々の障害者の状況に即した個別的で可変的な環境調整の手法として「構造化」を位置づけ、「支援」と「環境」を結びつけて理解することによって、空間的な要素と支援環境の関わりを捉え、建築計画的な視点から構造化を導入した支援環境の空間的様相を明らかにし、自閉症者が理解可能で意味のある環境を構築する支援のあり方を模索することを目的とする。構造化を先駆的に導入している発達障害支援センターと協働して、早期療育施設と在宅、特別支援学校、福祉的就労施設や就労の場への継続的な教育環境づくりを行う特別支援学校に通所する自閉症児を研究対象として、空間的な要素と支援環境の関わりを建築計画的な視点から考察する。 <研究実績の概要> 23年度は、前年度に引き続いて、構造化を導入している熊本の発達障害支援センターの早期療育施設と在宅、学校が協働して個別教育プログラムを提供する特別支援学校2校、特別支援学級2校における自閉症児の教育環境と在宅環境との包括的な支援に焦点をあてて継続調査を行った。また熊本県荒尾市の特別支援学校中等部について、前年度の予備調査の結果に基づいて本調査を行った。 【自閉症児の療育環境に関する本調査】(特別支援学校2校、特別支援学級2校、熊本県) スタッフの行動観察調査、利用者の行動観察調査 これらの行動観察調査おいては申請者による直接観察とともに、スタッフの支援内容と利用者の行動をビデオカメラで記録する行動観察調査を行なった(2年目)。調査結果を分析し論文にまとめている。 【自閉症者の特別支援学校中等部、熊本県荒尾市】 基礎調査(A:スタッフへのインタビュー調査.B:プラン採取、家具の状況、C:構造化(物理的構造化・視覚的構造化・スケジュール、作業システム))の後、本調査としてスタッフと利用者の行動観察調査を終日行った。調査結果を分析し論文にまとめている。
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