本研究では、都市が市場のみに翻弄されず、限られたローカル・リソースを集束することでリスクを分散し、持続的な地域主義のまちづくりを行うことができるシステムを明らかにすることを目的とする。本研究でローカル・リソースとは、次のようなものを含むと定義する。第一にローカルの資金(官民)、第二にローカルの人材(属人的な記憶や技術を含む)、第三にローカル的空間資源である。これらの三つのリソースを地域内でバランスよく束ね、持続的なまちづくりを担保するための方法論を構築する。本年度は、具体的な地域に入り、事例のアクション・スタディを行った。金沢市、高岡市において、地方中心市街地内での限定されたリソースの実態についての調査を行ったことは論文にまとめて発表した。また、中野区での大規模公共事業に伴う資本流入とまちづくりにおいて、まちづくりのアクション・スタディを行った。さらに、論の部分では富山市の事例を調査した成果を論文として発表し、台湾でも現地協力者の支援のもと、ローカル・リソースの集束方法における調査を行った。また、もう一つの論として、復興基金というまちづくり面からの資金の手法について調査し、成果を発表した。 これらの背景の異なるまちづくりを、アクション・リサーチと論の両軸から分析、比較することによって、リソースを束ねたまちづくりの展開の方法論を構築していく。
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