本研究では、都市が市場のみに翻弄されず、限られたローカル・リソースを集束することでリスクを分散し、持続的な地域主義のまちづくりを行うことができるシステムを明らかにすることを目的とする。 2012年度は、最終年度として、ローカル・リソースを集束することで、リスクを分散し、持続的に地域主義的なまちづくりを行うことができる方法論を構築するためのスタディを行った。その中で、特にアクション・スタディとして、大規模な都市計画事業に直面したまちづくりの現場における支援を行い、従来の方法論を補完するためのローカル・ルールの策定への活動と、主体連携の実態を明らかにした。このアクション・スタディでは、実地のまちづくり主体との連携を行い、行政、専門家、住民の新しい集束のかたちを構築することを目指して、調査研究を行うことができた。また、金沢においてもアクション・スタディとして、空洞化した中心部におけるまちづくりのあり方を専門家と議論し、ローカル・リソースの活用へとつなげた。 また、アメリカから専門家招致をおこない、理論家における議論の仕上げをおこなった。その中では、ジェントリフィケーションに面した地域でのまちづくりのあり方についてのキーワードを明らかにし、日本における議論へと昇華させることができた。また、東アジアにおける近年活発な住民が主体となった特徴的な地域まちづくりにおけるローカル・リソースの集束実態についての調査と分析を行い、これまでの研究蓄積と一体としてとりまとめることができた。
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