研究課題/領域番号 |
22760479
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研究機関 | 尚絅大学短期大学部 |
研究代表者 |
佐藤 圭一 尚絅大学短期大学部, 総合生活学科, 准教授 (60435378)
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キーワード | 南アフリカ / グラーフ・ライネ / 人種隔離 / グリッド・パターン / 都市計画 / ケープ植民地 / 植民都市 / アパルトヘイト |
研究概要 |
本研究は、17世紀に建設され研究蓄積のあるケープタウン(都市I)とボーア人が集団での計画的な内陸移動に伴い19世紀に建設した南アフリカ内陸植民都市群(都市群III)を比較考察の対象として、18世紀に建設された南アフリカ内陸の都市群(都市群II)の一つであるグラーフ・ライネを主対象とするものである。23年度はグラーフ・ライネ中心部の本調査を行うと共に、隣接する黒人地区ウマシザケにも焦点をあてて予備調査を実施した。全域をビデオ撮影し、植民地期の住宅が残るロイヤル・ブロックと呼ばれる街区の実測調査図面を現地の協力者から入手した。歴史的な地区でもある黒人地区ウマシザケは、そのクリアランスが検討されており、現況記録は喫緊の課題である。 22年度の現地予備調査を基に人種隔離空間の形成と地域保全について考察を行った。18世紀の植民地建築と都市骨格が残るグラーフ・ライネ中心部と隣接する黒人地区ウマシザケがアパルトヘイト期を通じて共存していたが、現在の構想では中心部だけが地域保全の対象となっていることを指摘し、人種隔離政策が空間再編に影響していることを明らかにした。 また、23年度の現地調査の際には、グラーフ・ライネで建築事務所を開設するポートエリザベス(現、ネルソン・マンデラ・メトロポリタン)大学建築学部出身の建築家にも調査協力を依頼することができた。さらに、ポートエリザベス大学建築学部の元教授が運営している都市計画事務所を紹介され、24年度以降の調査協力を依頼した。現在、自治体の依頼を受けてグラーフ・ライネの再開発計画を策定中であり、24年度の研究計画最終年度に向けて、現地との協力関係を強固にすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度は、予備調査、本調査、補足調査の3年次計画の2年目であったが、22年度の予備調査で選定したグラーフ・ライネにおいて本調査を行うことができ計画通りである。調査後は分析・考察を行い、24年度の補足調査の準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
23年度の現地調査の際に新たな調査協力関係ができたので、さらなる研究推進が期待できる。今後も協力者と情報交換を続け、最終年度の現地調査と分析・考察を行い、最終報告書をまとめたい。
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