新しい建物を作り続けるフロー型社会から、今ある建物を最大限に利活用するストック型社会への移行は、人口減少と相まって、地域における最終的な生産主体・担い手である中小建設業者、すなわち工務店を中心とした地域の建築生産システムに及ぼす影響は大きく、そのあり様に大きな変化・変容が生じることになる。そこで、本研究は、このような社会構造の転換の下、既存建物を長期的に使用し続けるための生産活動に重点を置いて住環境を運営していく上で、工務店を中心とした人・物・金・技術・情報などにより構成される地域の建築生産システムに求められる変化や、新たに創出されるサービス・事業等を体系的に整理し、その再編モデルの基盤となる部分を設計することを目的とした基礎研究である。 平成22年度は、新築住宅着工戸数が大幅に減少し、改修を中心とした市場に移行していると考えられる地方の建築生産システムの実態を明らかにすべく、現地の生産者側へのヒアリング調査を、新潟県佐渡市及び宮崎県宮崎市等にて実施した。
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