研究課題/領域番号 |
22760480
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研究機関 | 国土技術政策総合研究所 |
研究代表者 |
角倉 英明 国土技術政策総合研究所, 住宅研究部・住宅生産研究室, 研究官 (50512654)
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キーワード | 既存建物 / 長寿命化技術 / 建築生産システム / 地域工務店 / 地域経済 |
研究概要 |
新しい建物を作り続けるフロー型社会から、今ある建物を最大限に利活用するストック型社会への移行は、人口減少と相まって、地域における最終的な生産主体・担い手である中小建設業者、すなわち工務店を中心とした地域の建築生産システムに及ぼす影響は大きく、そのあり様に大きな変化・変容が生じることになる。そこで、本研究は、このような社会構造の転換の下、既存建物を長期的に使用し続けるための生産活動に重点を置いて住環境を運営していく上で、工務店を中心とした人・物・金・技術・情報などにより構成される地域の建築生産システムに求められる変化や、新たに創出されるサービス・事業等を体系的に整理し、その再編モデルの基盤となる部分を設計することを目的とした基礎研究である。 平成23年度は、新築住宅着工戸数が大幅に減少した中で、東日本大震災の影響を大きく受けた東北地方を中心にして、被災以降の応急的な補修・改修工事を通じて、震災復旧時における地方の建築生産システムの実態を明らかにすべく、現地の生産者側へのヒアリング調査を実施した。この一連の調査の結果、震災発生直後から大工・工務店を中心とする地域の建築生産システムは、地域の復旧・復興に向けた動きを見せていることが分かった。当初は応急的な補修程度にとどまっていたが、義援金等の検討開始により資金調達の見通しが立つようになると本格的な改修工事も開始されていたことも明らかとなった。しかしながら、このような広域での被災ケースでは、大工や専門工事業者といった職人と合板、断熱材等の建材の不足が迅速・円滑な復旧に大きな影響を及ぼした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年3月11日発生した東日本大震災において被災した地域を対象とした、地域工務店等、地域の建築生産システムの各主体への調査により、非常時対応の方策により、これまで顕在化していなかった維持管理体制の可能性と課題について把握できたため、当初の計画よりも若干進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城及び福島を対象とした調査を実施するとともに、その他の地域での調査を展開する予定である。当初の研究計画に従いつつ、地域の建築生産システムのあり方及びモデル構築に向けて一層の成果を得ることを目標とする。
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