本研究は、都市構造評価における従来の統計資料などによる分析の限界に対するブレークスルーを目指して、地方公共団体が実施している行政サービスの内容を示した「事務事業評価書」(研究代表者が収集した450団体、約40万票)を活用し、都市構造の分析に必要な項目・内容を効率的に取得する技術と、それらを地理空間データ上に効率的にプロットするために必要な要素技術の検討を行うものである。 本年度は、研究テーマの1つ目の柱である、大量の様式の異なる事務事業評価書から都市構造に関連する内容・指標などを効率的に抽出する技術についての基礎的検討を実施した。事務事業評価書は定型の様式というものが存在せず、団体ごとに様式や記載項目・内容などが異なっていること、多くの団体ではPDF形式での公表を行っていること等を踏まえ、PDF形式のファイルより、必要な項目や内容を取得するプログラムの基本設計を行った。具体的には、評価書に記載の項目名とその紙面上の位置情報を取得するためのアルゴリズムの基礎として、代表的な評価書の様式の分類を行い、評価書中の各項目の出現位置の傾向等についての分析を行った。さらに、各項目の位置関係をモデル化することにより、処理に必要なプログラムのベースとなる処理アルゴリズムを検討した。また、大量の処理を実現するためのプログラム化に必要な上記のアルゴリズムの実装方法(必要なライブラリなど)についての検討を行った。これらの検討により、次年度以降に処理プログラムの作成を実施できる目処がついた。
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