本研究は、都市構造評価における従来の統計資料等による分析の限界に対するブレークスルーを目的として、地方公共団体が実施している行政サービスの内容を示した「事務事業評価書」より、都市構造の分析に必要な項目・内容を効率的に取得する技術と、地理空間データ上に効率的にプロットするために必要な要素技術の検討を行うものである。 今年度は、過年度に行った既存の地理識別子に関する基礎的検討を受けて、既存の地理識別子の利活用上の処理手順の確認や、新たに整備が必要となる地理識別子に関しての概念を整理した。この中で、既存の空間参照の標準規格におけるロケーションタイプの設定が、処理の精度を左右することがわかったが、実際の事務事業評価書からは、このロケーションタイプを取得することが出来ない場合が大きく、地理識別子等とは違う、参照のためのデータを付与するもしくはデータベース化することが必要であった。実際に、まとめとして行ったケーススタディにおいても、ロケーションタイプは別途手作業で各事務事業(レコード)に付与することが必要であった。最後に、一連の処理を経て、事務事業評価書から得られる項目を試行的に可視化した。
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