研究概要 |
本研究はイタリア・ルネサンス最後の建築家ヴィンチェンツォ・スカモッツィが建築理論の中心におく建築六原理(ordine, disposizione, distribuzione, corrispondenza, venustà, decoro)の内容を明らかにすることを目的としている。 この六原理は古代ローマの建築理論家ウィトルウィウス以降の古典主義的建築理論の根幹を成し、建築制作の根拠として用いられてきた。いまだ解明されていないスカモッツィの建築理論の全体像と細部を明らかにするために、本研究は平成22年度から実施された。研究最終年度となる今年度は、国内外で収集した資料を基に、ウィトルウィウス、アルベルティ、バールバロの建築六原理を参照しながら、スカモッツィの六原理の内容を確認した。 スカモッツィの建築六原理はウィトルウィウスに準じて類似の原理解釈を行っているが、各原理の解釈においてアルベルティやバールバロの影響も見られる。特に学(scienza)を中心としたスカモッツィの原理構成から、ウィトルウィウスには見られない六原理間の階梯が建築制作の基本に添えられていたことを確認した。
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