本研究の目的は、高温のメルトから直接、超伝導C12A7:e^-の単結晶を育成する方法を開発する事とその高温メルトと結晶の関係及び超伝導などの特性を解明することであった。 平成22年度では、「エレクトライドの単結晶成長」を主たる目的とし、メルティングの温度や酸素分圧に対する電子濃度との関係を調べ、単結晶成長を行った。また、重要な結果として、高温メルトから酸素分圧を制御することでエレクトライドのガラスの作成に成功し、その特性を調べた。 エレクトライドの酸化反応と単結晶成長:エレクトライドは、高温では酸素雰囲気中で簡単に酸化してしまうことで、酸素分圧の制御がエレクトライドのメルトを制御するには極めて重要である。その為、酸素分圧を、10^<-4>atmから10^<-24>atmまで制御した後、高温でエレクトライドを溶解した。溶解した後、エレクトライドの電子濃度を測定し、10^<-24>atm以上の酸素分圧では最高電子濃度(2.3x10^<21>cm^<-3>)のC12A7エレクトライドを溶解して、10^<19>cm^<-3>の電子濃度を含むエレクトライドになり、10^<-24>atm以下の酸素分圧でも電子濃度は減り、1.0x10^<21>cm^<-3>の電子濃度を含むエレクトライドになることが分かった。 酸素分圧を10^<-24>atm以下に制御した後、エレクトライドを溶解し、急冷するにとによってエレクトライドのガラス作成に成功した。エレクトライドのガラスは、一盤的なC12A7ガラスとは構造、熱、電気、光学的な特性のすべてにおいて大きな違いを示した。これらの特性の違いは、ガラス中に電子の有無に起因しており、1.0x10^<21>cm^<-3>以上の電子濃度を含まれたガラスは初めてである。このガラスの特性は平成23年度に詳しく調べる予定である。
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