12CaO・7Al_2O_3エレクトライドの高温のメルトを直接解析するため、大型放射光施設(SPring-8)、BL19で4Mirror Floating Zone Melting Furnaceを投入し、メルト状態、すなわち、溶解したメルトの温度や雰囲気を制御し、12CaO・7Al_2O_3エレクトライドのメルトに直接X線を照射することでX線回折パタンを測定した。測定したメルトのX線回折パタンはそのメルトから直接製作した12CaO・7Al_2O_3エレクトライドのガラスを同じくX線回折パタンを大型放射光施設(SPring-8)、BL02で測定し、比較することでメルト状態やガラスの構造を解析した。 これらの結果によって、12CaO・7Al_2O_3エレクトライドのガラス構造は、ガラスに含まれている電子の濃度によって電子が含まれていないガラスと比べ、陽イオンと酸素の距離が大きくなることが明らかになった。また、電子濃度の変化によって12CaO・7Al_2O_3エレクトライドのメルト構造もその距離が同じく大きくなる事が明らかになった。 これらの結果を念頭において、酸素雰囲気とメルト温度の制御された最適条件ではより高品質の単結晶を成長することに成功した。また、絶縁体12CaO・7Al_2O_3を用いてエレクトライド化するプロセスよりクラックなど結晶質がより高品化することが出来た。 これらの研究によって成長した単結晶12CaO・7Al_2O_3エレクトライドは超伝導特性を示した。現在、その超伝導転移メカニズムを明らかにするために、電子濃度の違う、10の19乗から10の21乗の電子濃度を変化した12CaO・7Al_2O_3エレクトライドの高品質の単結晶を作成している段階である.
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