申請者らが独自に開発した「レーザー誘起希土類・遷移金属原子加熱法」を適用することでガラス表面近傍に局所加熱を誘起し、局所的なゾーンメルティングによる単結晶パターンを自在に形成することが可能である。一方で、ゾル-ゲル法に代表される溶液プロセスによる薄膜合成技術は簡便で均質な非晶質膜の形成に優れた手法であることが知られている。本研究ではこれらの手法に着目し、非晶質ゲル膜へのレーザー誘起単結晶パターニングによる結晶化挙動の解明と電気光学デバイスの創製を目的とし、本年度は(1)薄膜結晶化のためのレーザーパターニング手法の検討、(2)ゾルゲル法によるリチウムニオブケイ酸塩非晶質膜の創製と、結晶化挙動の調査、(3)銅ケイ酸塩薄膜の形成とレーザー誘起加熱挙動の調査について検討した。その結果、40Li20-40Nb205-20SiO2での組成において均質な非晶質膜の形成に成功し、熱処理により単相でニオブ酸リチウムが形成することを確認した。石英基板の直上に下地層として20CuO-80SiO2膜をゾルゲル法にて作製し、その上に目的のLiNbO3結晶が形成する40Li20-40Nb205-20SiO2相を形成することでレーザーパターニング可能な多層膜を試作した。Li20-Nb205-SiO2相とCuO-SiO2相の膜厚、レーザー強度に依存して均質なニオブ酸リチウム結晶が形成、あるいはアブレーションによる膜の破壊が起こることを確認した。
|