研究課題/領域番号 |
22760513
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
吉川 純 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (20435754)
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キーワード | 遷移金属酸化物 / 分析電子顕微鏡法 / 二次電池 |
研究概要 |
本年度は、幾つかのバナジウム酸化物のナノ構造体作製条件と特性を調べ、次のことがわかった。 1、前年度に作製した二酸化バナジウムのナノワイヤに関して、詳細な構造解析を行った結果、Aタイプと呼ばれるものであることがわかった。また、成長条件を変えることで、68℃付近で金属絶縁体転移を起こすタイプの二酸化バナジウムの作製に成功した。成長基板種に依存して、転移温度が変化することがわかった。 2、新たなバナジウム酸化物構造体として、厚さがナノメートルサイズ、幅がマイクロメートルサイズのシート形状をした五酸化バナジウムをアルミニウム箔上に高密度に成長することに成功した。このシート形状物は、側面が特定の指数面で囲まれた五角形の形状をしていて、側面からのゲストイオン挿入に有利な構造である。この箔が、リチウムイオン二次電池の正極として実際に電気化学的に動作をすることを確認した。通常の正極作製においては、活物質を結着剤などと混ぜてアルミ箔に塗布するが、本研究の手法では、活物質(シート形状の五酸化バナジウム)をアルミ箔に直接成長させることで、軽量化かつ電極作製工程の簡易化できた点に意義がある。新しい正極作製技術の一つを提唱できたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一段階のステップとして、電気化学的にアクティブな酸化バナジウムの微細構造体の作製に成功した。結着剤等不要な正極として新しい電極モデルを提唱できたことは、本来の目的そのものではないが、その意義は大きい。最終の研究目的である、ナノ構造制御により、ナノサイズ効果と電気化学特性の相関を導くまでには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
まず、現状の五酸化バナジウム・プレートに関して、電気化学特性を詳細に調べ、充放電機構を探る。その後、サイズ依存性や形状依存性などを調べていく。
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