研究課題/領域番号 |
22760518
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
大西 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (80345230)
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / MBE、エピタキシャル |
研究概要 |
全固体Liイオン電池の超高出力化を最終目標として、(1)配向制御したエピタキシャル正極活物質薄膜の作製、(2)硫化物と違い大気中で安定且つ高いイオン伝導性をもつ酸化物固体電解質のエピタキシャル薄膜化、(3)高容量をもつ結晶性負極活物質のエピタキシャル薄膜化、もしくはLi金属薄膜の蒸着・Li-In合金の圧着、最後にこれらを積層することで、全固体エピタキシャルLiイオン電池を創成する。複酸化物の薄膜化に長けるパルスレーザー堆積(PLD)法を用い、製膜条件の厳密制御によりバルク単結晶品質のエピタキシャル薄膜を得るとともに、原子レベルで連続的なヘテロエピタキシャル界面を作製し超高出力全固体Liイオン電池の薄膜モデルを作製する。 今年度は、酸化物固体電解質であるLiO.33LaO.56TiO3(LLTO)のエピタキシャル薄膜の作製に成功するとともに、堆積する単結晶基板の格子定数を選択することでLLTOの配向方位制御を達成した。リチウムイオン伝導度の評価では、薄膜面内の伝導度測定において、これまで用いていたSrTiO3基板の電子伝導が問題となることを明らかにし、電子伝導を持ちえない基板上にエピタキシャル薄膜化することで-4剰S/cmオーダーのリチウムイオン伝導度が得られていることがわかった。 現行でのLLTO薄膜の最適な作製条件は非常に過酷(1000℃前後かつ10Pa以上の高酸素雰囲気)で、あらかじめ作成したLiCoO2正極薄膜がLLTO薄膜の作製条件に耐えられない可能性があるため固相エピタキシー法を検討した。これは、低温で10nm程度の非晶質LLTO薄膜を堆積後、加熱することでエピタキシャル薄膜化し、その後は最適条件にて所望の厚さまでLLTOエピタキシャル薄膜を堆積する手法で、現状では-5剰S/cmオーダーのリチウムイオン伝導度を達成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初に綿密な計画を立て、それに沿うように研究をおこなっているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き酸化物固体電解質であるLiO33LaO.56TiO3エピタキシャル薄膜の高品質化をすすめ、-3剰S/cmオーダーの地理うむイオン伝導度を達成するとともに、固相エピタキシー手法を確立してLiCoo2エピタキシャル薄膜上に性能劣化を伴わずにLiO.33LaO.56TiO3エピタキシャル薄膜を形成し、最後に負極を形成することでエピタキシャルリチウムイオン電池を創生する。
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