本研究は金属ガラス(バルクアモルファス合金)Fe_<43>Cr_<16>Mo_<16>C_<15>B_<10>と、負の膨張係数を示すセラミックスをプラズマ放電焼結(SPS)で複合化して膨張係数がゼロのアモルファス複合材料を創成することを目的とする。当該年度は負膨張係数材料としてマンガン窒化物Mn_3(Cu_<0.53>Ge_<0.47>)Nを選択し、Fe_<43>Cr_<16>Mo_<16>C_<15>B_<10>金属ガラスと混合してプラズマ放電焼結により複合体を作製した。但しMn_3(Cu_<0.53>Ge_<0.47>)N及びFe_<43>Cr_<16>Mo_<16>C_<15>B_<10>金属ガラスの室温付近の膨張係数はそれぞれ-16μ/K、+6μ/Kである。 (1)883Kで3分間焼結すると、Fe_<43>Cr_<16>Mo_<16>C_<15>B_<10>金属ガラスは過冷却状態に転移して粘性流動性が増すため短時間で充填率が100%近いバルク材を得ることができたが一部は結晶化した。一方、863Kで60分焼結すると、充填率90%以上のバルクアモルファス体が得られた。(2)863Kで60分焼結した試料の組織観察の結果、Fe_<43>Cr_<16>Mo_<16>C_<15>B_<10>金属ガラスとMn_3(Cu_<0.53>Ge_<0.47>)Nは組織的に連続的に接合していることが分かった。(3)X線回折と透過電子顕微鏡による構造解析を行い、Fe_<43>Cr_<16>Mo_<16>C_<15>B_<10>金属ガラス及びMn_3(Cu_<0.53>Ge_<0.47>)Nはそれぞれ焼結前の結晶構造を維持しながら複合化されていることが分かった。(4)Mn_3(Cu_<0.53>Ge_<0.47>)Nを27vol%含む試料について線膨張係数を測定し、室温付近で膨張係数がほぼゼロになることを確認した。
|