研究概要 |
2010年度末期(2011年1~3月)に多数の試料作製、水素吸蔵放出測定を終えていたものの、データ解析が行われていなかった。3月に被災後、6月以降測定済みデータをサルベージ、解析を行い、以下の知見をまとめることが出来た。 1.75at%V-Ti-Cr-Al合金におけるAl量、Ti/Cr量と平衡水素圧の関係の算出 前年に良好な低温特性を有することが確認された75at%V-Ti-Cr-Al合金を中心に合金中のAl量を1,2,,3,および5at%としCr量を変化させた場合の平衡圧力マップを作成した(Al量を一定とすれば平衡圧力の対数値はCr量に比例することが確認された)。また、水素吸放出温度を変化させて、平衡動作圧のVan't Hoff plotを求め、作動熱量も求め、合金組成から動作圧力を予測することが可能となった。 2.70および80at%V-Ti-Cr-Al合金におけるAl量、Ti/Cr量と平衡水素圧の関係の算出 同様にV含有量を70at%および80at%としてAl量(1~5at%)としてCr量を変化させて平衡圧力について求めたところ、Cr量に対して平衡圧力の対数値が比例すること、およびV含有量の影響についてもある種の直線関係が得られ、前年度の解析結果と併せてV-Ti-Cr-Al系合金(V量60~85at%,Al量0~5at%)において合金組成から動作圧力を予測することが可能となった。 3.V-Ti-Cr-M系(M=Al,MoおよびW)合金における合金組成と格子状数、平衡水素圧の関係の算出 一般に水素吸蔵合金の格子状数と平衡水素圧は密接な関係を有し、置換元素の添加量と格子状数、平衡圧の関係について整理を行った。Al添加系では特に置換による格子状数の増加と平衡圧の上昇が確認され、BCC系固溶体合金におけるAlの特別な効果が確認された。 *一方、保管されていた試料、原料については、震災後回収し、再測定を試みたものの、酸化のため新規データを得ることは叶わなかった。
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