研究課題
■ アルカリ金属処理遷移金属フタロシアニンの磁性:昨年度に引き続き、遷移金属フタロシアニンに関してアルカリ金属処理に伴う磁気特性の変化を調べた。本年度は反応生成物の後処理に伴う磁性変化を中心に調査した。その結果、エタノール、水、硝酸処理によって反応生成物の強磁性が失われることから、強磁性の発現には比較的不安定なラジカルが寄与しているという知見を得た。■ Fused-ring型フタロシアニン重合体の合成と磁性:昨年度に引き続き、fused-ring型フタロシアニン重合体を合成し、その磁性を調査した。強磁性を示したマンガン重合体に関して、原料比、反応温度、時間の検討を行った。その結果、テトラシアノベンゼンの比が高いほど磁化の増加がみられた。一方、テトラシアノベンゼンのみを原料に用いた反応生成物は長期間大気中に暴露することで磁化の減少を生じることから、重合体の強磁性発現機構には比較的不安定なラジカルが関与していることを明らかにした。さらに、異種金属が交互に配置したフェリ磁性fused-ring型フタロシアニン重合体の合成を試み、マンガン-コバルトの組み合わせにおいて自発磁化を示す重合体を得た。■ 新規フタロシアニン重合体の新規合成法と磁性:bridge型フタロシアニンの新規合成法を開発した。その結果、キュリー温度が有機磁性体としては極めて高い新規重合体を得た(特許出願)。■ ジアジン系新規金属錯体の合成と磁性:フタロシアニン以外のπ電子系有機分子を含む新規金属錯体の探索を行い、ハロゲン化銅-ジアジン金属錯体を得た。X線構造解析により結晶構造を調査した結果、はしご状構造の重合体であることが判明した。磁性を調査したところ、低次元反強磁性体の性質を示し、磁場中における量子相転移の兆候を観測することに成功した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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