遷移金属フタロシアニンにアルカリ金属をドープした試料を作製し、その磁性や結晶構造を調査した。マンガン、鉄、コバルト、ニッケルフタロシアニン試料にカリウム、ナトリウムをドープした試料はすべて室温において強磁性を示した。強磁性を発現した試料に関して、X線回折法や透過型電子顕微鏡等によって構造を調査した結果、フタロシアニン分子が3次元的にランダムに重合した構造が示唆された。非局在化したπ電子が高キュリー温度強磁性の原因となっている可能性が考えられる。また、上記結果に基づき、フタロシアニンの重合体を合成し、その磁性を調べた結果、一部の重合体において室温で強磁性が観測された。これらの知見は高キュリー温度有機強磁性体探索の手掛かりになると考えられる。
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