適切な材料が見出されていない中温域においてCO2を吸収・分離するセラミックス材料の開発を行った。本申請課題で開発する分離材料のマトリックス物質には、中温でCO2と化学反応するLiFeO2を選択した。また、作製した分離材料のCO2分離速度を増大させるため、LiFeO2粒子表面にCeO2ナノ粒子を被覆した複合材料を開発した。複合する際には、粒子表面の電位が正負で大きく離れている性質を利用して、溶液中でLiFeO2粒子表面にCeO2ナノ粒子を被覆した。この作製方法によってLiFeO2柱状粒子の表面にCeO2ナノ粒子が被覆された多孔質の複合体を作製することができた。続いて、作製したCeO2/LiFeO2複合体のCO2吸収特性を、管状炉、およびTG-DTAを用いて評価した。CeO2を被覆した複合体は、各温度において、LiFeO2のみと比べて大きいCO2吸収率を有しており、CO2反応速度が向上したことが分かった。 上述のようにCO2吸収速度を高くしたCeO2/LiFeO2複合体の試料を加熱電気炉の反応管内に装着して、CO2/N2混合ガス(CO2濃度:約80%)中からのCO2分離能(30~400℃)を評価した。なお、試料を通過したガス成分の各濃度は、ガスクロマトグラフに連結させて、その場評価した。その結果、作製した複合体を用いることで、中温域の400℃において、混合ガス中のCO2濃度を約10%低下させることに成功した。
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