研究概要 |
化学気相析出(CVD: Chemical Vapor Deposition)法は、気相からの析出反応により基材をコーティングする方法であり、合成温度や炉内圧力を変化させることで、原子レベルでの多様な構造制御が可能である。その被覆性が高いことかち、実用コーティング法として幅広く使用される。本研究代表者らは、高強度の連続発振レーザービームをレンズで拡げて原料ガスおよび基板へ照射するCVD法を発案し、この活性な反応場を利用して、セラミックス基材上に結晶配向性の高いセラミックス膜を低温で合成できることを明らかにしてきたが、本手法を用いることで、従来のCVD法では難しかった金属甚材への硬質セラミックスコーティング技術の開発へと研究の展開が可能である。 半導体レーザーを用いたレーザーCVD法により、アルミニウムアセチルアセトナート原料を用いてAINおよびサーメット基板上にα-Al_2O_3膜を合成した。合成温度900K以上で、α-Al_2O_3の単相膜が生成した。合成温度、炉内圧力および原料築化温度を変化させると、α-Al_2O_3膜の配向方向は(110),(012),(104)および(001)の間で変化した。(001)配向α-Al_2O_3膜の表面には、六角形のファセットが顕著に認められた。(104)配向膜では、六角形のファセットが基板面に対してやや斜めに成長しており、(012)配向膜では、ピラミッド状のファセットが成長していた。いずれの配向膜においても、柱状成長が認められた。TEM観察の結果から、これらのファセット構造は、主に(001)面と(104)および(012)面に対応していた。(001)配向膜の配向係数は90%に到達し、高い配高度を示す(001)配向Al_2O_3膜が合成できた。
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