| 研究概要 |
目的:航空機用Ti合金(Ti-6Al-4V, Ti-10V-2Fe-3Al,他航空機用Ti合金)のマルテンサイトの熱処理過程の組織変化の解明
Ti-10V-2Fe-3Al合金の熱加工組織:本研究では微細分解の評価の前にマルテンサイト単相組織を得るために熱加工条件の制御でそれが得られるか評価した。本合金はマルテンサイト変態開始点が室温より若干に低めにあるために、単純な焼入れ処理では、均質なマルテンサイト組織は得られない。ところがβ単相域での熱加工過程で急速加工(ひずみ速度:大)では、均質なマルテンサイト組織が得られることが分かった。これは急速加主に伴う加工過程での素材に蓄積されるストアードエネルギー(転位密度と相関>の増加によるもので、加工時に大量に導入される欠陥がトリガーとなり、無拡散変態(マルテンサイト変態)が助長されたものと考えられる。更に、このマルテシサイト組織からの低温熱処理過程では硬さが経時的に増加する。400℃以上ではβ相への逆変態が比較的、早くから顕著であり、硬さの増分は大きくないことが分かった(メカニズムとしてα"からの微細分解よりむしろ、これまでに多く報告されている平衡α相の生成が硬さ増加に寄与)。
一方でよりα相が安定なTi-6Al-4V合金では、α'マルテンサイトの低温-熱処理過程ではマルテンサイトバリアント界面と{10-11}双晶界面から平衡βが生成して硬さが増加している。この硬さの増加についてはβ相の形成よりむしろα'相の構造安定性が熱処理で増加したことが強く寄与したと考えられる。
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