放射光を利用した時分割X線回折法を用いてステンレス鋼の溶接凝固過程を解析した。特に輝度が高く平行性の高い、アンジュレータービームと大面積エリアディテクターを活用することにより、溶接凝固過程における結晶相の時系列変化だけではなく、液相の減少過程をも直接観察することに成功した。さらに、ストレー結晶の生成に必要な過冷を見積もるためにティグ溶接中において、溶接線上の温度プロファイルを浸食型の光ファイバーを用いて測定し、時分割X線回折データと溶接プロセス中の温度を対応づけた。以上の溶接凝固現象のその場解析結果が溶接凝固に関する多相系フェイズフィールドシミュレーションモデルの構築に有効であることを示す。
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