研究概要 |
本研究では,次世代透明導電膜(IZO:Indium-Zinc-Oxide)作製スパッタリングプロセスにおける気相・薄膜表面反応過程の解析を目的とした. 本年度は,これまで開発してきたマイクロホローカソード放電を用いた多元素同時モニタリング光源を用いた吸収分光法によりIZOスパッタプラズマ中のIn及びZn原子密度を測定し,気相の解析を行った.また,作製した薄膜の膜質評価の結果と比較することにより,透明導電膜製膜メカニズムの解明を行った. はじめに,本光源のプラズマ状態を解明するために,狭帯域レーザ吸収分光法を用いてHe励起原子の密度と並進温度を測定した.圧力3-10kPaでは並進温度700-1000Kのドップラープロファイルであり,10kPa以上では並進温度1000-1500Kのフォークトプロファイルであることが判った。また,密度は約10^<12>-10^<13>cm^<-3>オーダーであることが判明した. 本光源を用いた吸収分光法によりIZOスパッタプラズマ中のIn及びZn原子密度の同時測定を行った結果,密度は10^9-10^<10>cm^<-3>オーダーであり,圧力の低下に伴い密度は減少した,また,InとZn原子の密度比において,低圧ほどZnの相対比が大きくなることがわかった. 透明導電IZO膜を投入電力及び圧力を変化させて製膜を行った,その結果,低電力低圧力である50W,1Paの条件で,光透過率が可視域で80%以上,比抵抗が10^<-4>-10^<-5>cm・Ω抵抗率が以下のITOと同等の透明導電膜特性を得ることができたキャリヤ密度とXPSによる0(1s)ピークから導出された酸素欠損量は,圧力が低下するとともにそれぞれ増加した.吸収分光の結果から,膜中のZn濃度が増加したためであることが示唆された.
|