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2011 年度 実績報告書

積層造形法による金属ガラス材の創製と大型複雑形状の造形

研究課題

研究課題/領域番号 22760570
研究機関大阪府立産業技術総合研究所

研究代表者

中本 貴之  大阪府立産業技術総合研究所, 機械金属部, 主任研究員 (40393300)

キーワード金属ガラス / 積層造形法 / 選択的レーザ焼結法
研究概要

本研究は,最近注目されはじめた金属粉末の積層造形法に着目し,レーザ照射により粉末を瞬時に溶融急冷凝固しながら形状を付与できる特長を活かして,これまで大型化および二次加工が難しいとされている金属ガラス材料に対して,金属ガラスを創製しながら同時に大型で複雑な形状をも付与できる新しい造形技術を確立することを目的とする.平成23年度は,Zr基金属ガラス組成の2次元平板の造形において,金属ガラス相が比較的生成しやすいレーザ照射条件を見出すとともに,1辺5mmの四角錐状の3次元形状を積層造形し,断面の観察,および造形物の高さ方向の断面硬さ分布の測定を行った.その結果,硬さ分布に多少バラツキはあるものの,断面硬さは全体的に金属ガラス材に比べてやや高い傾向を示した.原因の一つとして微結晶相の生成が考えられるため,詳細な構造解析の結果と照合して考察する予定である.また,熱伝導解析(有限要素法によるシミュレーション)を用いて,造形物内部の温度分布を予測し,結晶化を回避できる最適なレーザ照射条件を探索した.はじめに,表層の粉末面におけるレーザ光の吸収率を設定した.次に,積層1層目でレーザを1回走査させた際の熱伝導解析を行った,その結果,造形実験から見出した金属ガラス相が比較的生成しやすいレーザ照射条件は,冷却時の温度変化の予測から,結晶化が起こりにくい条件であることが確認できた.
さらに,Zr基以外の金属ガラス材として,Ni基,Fe基の代表的組成の素粉末混合体を用いて2次元平板を造形し,構造解析を行った.その結果,比較的融点の高い元素を含む系では,造形物内に単体元素のまま結晶相が残りやすく,Zr基に比べて金属ガラス相は生成しにくいことがわかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

完全な金属ガラス体が得られるレーザ照射条件は得られていないが,種々の方策を検討し,金属ガラス相が比較的生成しやすい条件を把握しつつある.

今後の研究の推進方策

3次元立体形状を対象に積層高さ方向の構造解析を行い,微結晶相析出に及ぼす熱影響の度合いを把握する.熱影響部での結晶化を回避するために,ビームスポット径を絞ったファイバーレーザの使用や,有限要素法によるシミュレーションから結晶化しない最適なレーザ照射条件を予測するなどの方策を検討する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] 炭素鋼粉末を用いた金属粉末ラピッドプロトタイピング2011

    • 著者名/発表者名
      中本貴之
    • 雑誌名

      科学と工業

      巻: 85 ページ: 426-432

    • 査読あり
  • [学会発表] 炭素鋼粉末の選択的レーザ焼結に及ぼす炭素量の影響2012

    • 著者名/発表者名
      中本貴之
    • 学会等名
      社団法人日本鉄鋼協会,社団法人日本金属学会
    • 発表場所
      大阪府立産業技術総合研究所(招待講演)
    • 年月日
      2012-02-01
  • [学会発表] 炭素鋼粉末の選択的レーザ焼結に及ぼす炭素量の影響2011

    • 著者名/発表者名
      中本貴之
    • 学会等名
      社団法人溶接学会
    • 発表場所
      大阪大学接合科学研究所(招待講演)
    • 年月日
      2011-05-17
  • [産業財産権] 金属ガラス成形体の製造方法2011

    • 発明者名
      中本貴之, 白川信彦, 四宮徳章, 乾晴行
    • 権利者名
      大阪府
    • 産業財産権番号
      特許,特願2011-79158
    • 出願年月日
      2011-03-31

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公開日: 2013-06-26  

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