研究概要 |
1. 3次元X線回折(3DXRD)顕微鏡法による塑性変形させた粗大粒化純Al中における結晶粒の方位変化その場観察 : SPring-8 BL33XUにおいて3DXRD法の測定系及び解析系を整備し、塑性変形させた粗大粒化純Al線(粒径数十~100μm,外径φ500μm)試料中の結晶粒方位変化のその場観察実験を行った。歪3%の塑性変形に対して30個の結晶粒の方位変化を解析した結果、方位依存性だけでは説明できないすべり変形による方位変化を確認した。表面を含めた結晶粒の隣接依存性が捉えられていると考えられる。 2. 高エネルギーX線用ピンホールの試作:高エネルギーX線集光光学系を利用しない放射光ビームラインにおいて本課題で提案している走査型3DXRD測定を行うのに必要となる高エネルギーX線用ピンホールを試作した(材質タングステン,穴径φ10μm,厚さ200μm)。30keVのX線に対してピンホールとして機能し、これにより6000系Al合金板(厚さ1mm)に対して3DXRD解析可能な斑点状のX線回折パターンが得られた。40keVのX線に対してはピンホールとして機能しなかった。 3. 高エネルギーX線マイクロビームによる鋼板の回折パターン : SPring-8 BL37XUにおける37keVの放射光X線マイクロビームを用いて冷延軟鋼板(厚さ1mm)のX線回折パターンを測定した結果、3DXRD解析可能な斑点状の回折パターンが得られた。走査型3DXRD法基本原理の検証実験として試料回転中心軸とマイクロビームが直交するような配置で3DXRD測定を行った結果、回転軸とマイクロビームが直交する点にある結晶粒だけが再構成され得るということはなかった。回転軸とマイクロビームの位置ずれが原因と考えられる。
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