研究概要 |
1.膜支持体のクラックフリーな成形:(1)ゾルーゲル法による膜支持体の合成プロセスにおいて,ホルムアミド・ジメチルホルムアミドの添加および乾燥工程の湿度制御が膜支持体のゲル化・収縮挙動に及ぼす影響を明らかにした.これにより適切な多孔構造を維持しつつ,クラックのない膜支持体を得ることに成功した.(2)目視や窒素吸着法等では検出困難な膜支持体のクラック評価手段として,ナノパームポロメトリー法による多孔構造評価装置を製作した.多孔構造が既知の市販の多孔質膜を用いて,本法による測定が健全に行えることを確認した.(3)フェーズフィールド法により膜支持体の多孔構造形成過程のシミュレーションを行った.膜支持体原料であるシリカの重縮合による疎水化を簡潔なモデルで表現し,疎水化が拡散に対して早く進行する場合に多孔構造の周期が縮小することを見出した. 2.膜支持体内部のマクロ孔表面上へのゼオライト膜形成:(1)原料となるAlとSiのアルコキシドの加水分解速度の差に着目し,加水分解の早いAl源の添加を遅らせることによって重縮合反応を均一化してゼオライト構造を得ることに成功した.(2)ゼオライト種結晶の水熱合成プロセスにおいて,100~150℃の範囲で適切なゼオライト構造が得られることを見出した.一方で温度の上昇に伴って収率は増加するものの種結晶粒子サイズは多分散化する傾向を示し,100℃付近が最適な温度であると結論付けられた.(3)ゼオライト種結晶微粒子を膜支持体内部の細孔表面に種付けするプロセスを,微粒子分散液を膜支持体に含浸または滴下する方法により検討した.含浸法に比べて滴下法が微粒子の収率が高い点で優れていた,しかし微粒子の分散状態が十分でないために,いずれの方法でも膜支持体表面で微粒子がスタックし,内部まで十分に到達しないことが課題である.
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