研究概要 |
【課題1:膜支持体のクラックフリーな成形】本年度は平板多孔性アルミナを階層多孔性シリカの支持材として,その表面上に階層多孔性シリカの成形を図った.その結果,シリカ前駆体ゲル乾燥過程の収縮の挙動が明らかになり,アルミナ上への成形において収縮とゲル化の両方の制御が必要であることが示されるとともに,ゼオライト膜支持体となるシリカのクラック抑制への方途を見出した. 【課題2:膜支持体内部のマクロ孔表面上へのゼオライト膜形成】本年度は膜支持体となる階層多孔性シリカの内部マクロ孔表面へのゼオライト原料供給および二次成長・膜化を図った.その結果,従来の種結晶法の代替としてアルミ塩溶液を用いることでシリカ内部への均一な原料供給を可能とした.一方,多孔性アルミナ膜支持体表面に直接ゼオライト結晶を種付けする方法では二次成長により膜化に成功した.【課題3:膜透過性・選択性評価】課題2で作成したゼオライト膜を用いて含水エタノールの膜分離による脱水試験装置を試作した.窒素透過試験から,今回作製した平膜では膜面積が小さく十分な透過流量が得られず,チューブ膜による大面積化が必要なことが判明した. 【課題3:膜透過性・選択性評価】課題2で作成したゼオライト膜を用いて含水エタノールの膜分離による脱水試験装置を試作した.窒素透過試験から,今回作製した平膜では膜面積が小さく十分な透過流量が得られず,チューブ膜による大面積化が必要なことが判明した. また,予備検討としてゼオライト膜に先立って市販のチタニア膜による窒素透過試験を行ったところ,透過機構として細孔内分子拡散だけでなく細孔表面拡散が支配的であることが示唆された.また透過機構成分分析から,細孔径がエタノール分子より大であるチタニア膜においてはこうした表面拡散によってエタノールが水よりも優先的に透過していることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題1ではゼオライト膜支持体となる階層多孔性シリカと多孔性アルミナを接合する手法の確立には至っておらず,課題2においても二次成長過程での強アルカリ性に対してシリカの耐性が不足することが明らかとなり,代替策として多孔性アルミナに直接膜形成する手法の検討が必要になっている.そのため,課題3の膜性能の評価の本格的な開始は平成24年度に持ち越しとなっている.
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今後の研究の推進方策 |
課題1の解決にはシリカのゲル化過程の収縮・硬化挙動の詳細な検討に時間を要するため一旦本年度で中断する.課題2については大表面積のゼオライト膜形成を目的として階層多孔性シリカのマクロ孔表面のゼオライト化を引き続き検討するが,二次成長手法として気相反応も含めてシリカへのダメージの少ない手段を探索する.一方,課題2で成功した多孔性アルミナ支持体に直接種付け・二次成長する方法によって早急に膜エレメントを作製し,課題3の膜性能の評価を早期に実施する.
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