研究概要 |
Pdドープシリカコロイドゾル調製条件の最適化を図った.具体的には,金属添加タイミング,金属添加分率について検討した.本研究では,アモルファスシリカ内にパラジウムを高分散,あるいはシリカとの複合化を図るため,塩化パラジウムをシリカ前駆体である珪酸エチル(TEOS)加水分解の段階で加えた.いずれのPd添加率でも,SiO_2とPdOを単純混合した粉体試料(Mixture of SiO_2 and PdO)は複合ゲル(Pd-SiO_2 gel)よりも強いX線強度を示し,金属ドープ法によりPdOの高分散化,複合化が可能であった.Pd-SiO_2膜のTEM観察より,Pd-SiO_2層の膜厚は80nm程度であることが明らかになり,超薄膜形成が可能であった.さらに,アモルファスシリカ内に8nm以下のPdが高分散したMixed-matrix構造であることが明らかになった.Pd-SiO_2膜の耐水蒸気性を評価したところ,SiO_2膜と比べて,水蒸気安定性を有している可能性が示唆され,H_2/H_2O透過率比が大きくなった.一方で,空気雰囲気で製膜したPd-SiO_2膜は,水素雰囲気で膜性能が変化するなど,安定性に欠けた.今後,製膜方法(焼成温度,雰囲気)を詳細に検討する必要がある.また,最適な複合膜形態を検討するために,(a)Pd-SiO_2直列型モデル,(b)Pd-SiO_2 mixed-matrix型モデル,(c)Pd-SiO_2並列型モデルの3パターンで水素透過率,H_2/N_2透過率比についてモデル計算を行なった結果,SiO_2内でのPd連続層の形成が水素透過率,水素選択性の向上につながることが明らかになった.
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