平成22年度にははじめに、本研究を遂行するにあたり必要な設備・備品を充実させることを目指した。具体的には、ポリマーへの放射線照射に際して起こり得る過酸化ラジカルの生成を回避するために、試料を高度に真空脱気することのできる真空系を構築した。この真空系の導入により、今後の放射線・紫外線照射実験を理想的な条件で行なうことが可能となる。 研究の進捗状況としては、目下のところポリプロピレンを主とするアルキル側鎖を有するポリマー中のラジカル(放射線照射により生じる)の紫外線誘起異性化反応について検討している。具体的には、紫外線により励起したポリマーラジカルの異性化反応(分子内水素移動反応)の選択性、位置異性体の間の異性化効率の違い、ポリマーの固体構造(結晶性など)による異性化反応挙動の違いなどについて検討しており、現時点においても継続的に検討している。しかし、あいにく現時点では見るべき成果が得られていない。平成23年度においても、当初予定の内容を遂行しつつ、引き続き上記の点について明らかにすることを目指す。
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