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2010 年度 実績報告書

粒子径および凝集状態を精密に制御した磁性酸化鉄ナノ粒子の低環境負荷合成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22760590
研究機関大阪府立大学

研究代表者

岩崎 智宏  大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (50295721)

キーワードマグネタイト / 磁性材料 / 飽和磁化 / 粒度分布 / メカノケミカル効果 / 超常磁性 / ボールミル
研究概要

本年度では粒子径と凝集状態を精密に制御したマグネタイトナノ粒子の低環境負荷合成プロセスの構築のための基礎的検討として、出発原料にpHが異なるゲーサイト懸濁液を用い、種々の条件下(雰囲気ガス、ミリング処理時間、容器回転速度、等)でこれをミリング処理する実験を行った。得られた試料の粒子径と結晶性を電子顕微鏡とX線回折装置でそれぞれ評価するとともに、液相の組成とpHの変化をICP発光分光分析装置とpH計で測定した。また、ミリング容器にガスを直接シリンジで採取できる構造を設け、合成反応中に生成するガスの組成をガスクロマトグラフにより分析した。得られた結果に基づいて、以下の反応メカニズムが明らかとなった。すなわち、容器内の気相に酸素が含まれる場合、出発原料である非晶質ゲーサイト懸濁液のミリング処理において、気液相の界面積が増加するために気相の酸素が液相へ溶解し、その溶存酸素濃度が上昇する。そのため、懸濁液は強い酸化雰囲気となるためにゲーサイトからフェロキシハイトへの結晶構造の転位が起きる。それとともに、媒体ボールおよび容器に用いたステンレス鋼表面において、局所的に高い機械的エネルギーが加えられることでこれらの表面は高い活性化状態となり、ステンレス鋼に含まれる鉄の一部がイオン化するとともに、電子が放出され、水酸化物イオンが生成する。生成した鉄イオンと水酸化物イオンの反応によって水酸化鉄が生成するが、容器内は強い酸化雰囲気であるためにフェロキシハイトが生成する。気相の酸素が消費されて低酸素状態となった後は、フェロキシハイトからマグネタイトへの変換(還元)反応が支配的となる。以上より、本系におけるメカノケミカル反応のメカニズムを解明することができ、これによりマグネタイトナノ粒子の粒子径と凝集状態の精密な制御への指針が得られた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Mechanochemical synthesis of superparamagnetic magnetite nanoparticles by direct transformation from goethite in organic solvent-free water system2011

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Iwasaki, Nami Sato, Kazunori Kosaka, Satoru Watano, Takeshi Yanagida, Tomoji Kawai
    • 雑誌名

      Journal of Alloys and Compounds

      巻: 509 ページ: L34-L37

    • 査読あり
  • [学会発表] メカノケミカル効果を利用したマグネタイトナノ粒子の液相合成プロセスの解析2011

    • 著者名/発表者名
      佐藤奈美, 岩崎智宏, 仲村英也, 綿野哲
    • 学会等名
      化学工学会第76年会
    • 発表場所
      東京農工大学(東京)
    • 年月日
      2011-03-22
  • [学会発表] 鉄(III)イオン溶液からの超常磁性マグネタイトナノ粒子のメカノケミカル還元合成とその応用2010

    • 著者名/発表者名
      岩崎智宏, 佐藤奈美, 小阪和徳, 綿野哲, 柳田剛, 川合知二
    • 学会等名
      第48回粉体に関する討論会
    • 発表場所
      e-とぴあかがわ情報通信交流館(高松)
    • 年月日
      2010-10-21

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公開日: 2012-07-19  

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