ケミカル・ルーピングプロセスにおける固体酸素担体挙動を把握するため熱重量分析装置による還元速度の評価およびダウンドロップチューブを用いたバイオマスと酸素担体の直接還元実験を実施した。作製した固体酸素担体は酸化鉄をベースとしており、バイオマスガス化により生成される主要ガスの一つである一酸化炭素と酸素担体の還元速度は、バイオマスの二酸化炭素によるガス化速度に比べて速いことが分かった。ただし、現時点で酸素担体の還元率は低いため、還元率の向上を目的とした酸素担体の開発の必要性が改めて浮き彫りとなった。また反応速度、反応率は制御温度依存性が高いため、還元反応器内の吸熱反応による温度制御と反応率を向上させるための方法、つまりバイオマスの投入方法や反応器の形状について早急に検討を行う必要がある。 ドロップチューブにおけるバイオマスと固体酸素担体の窒素雰囲気化における直接還元実験においては、酸素担体によってバイオマスの熱分解により生成するタール分の分解が可能であり、鉄系酸素担体を使用することでバイオマスガス化効率が向上可能であることが示唆された。また、ガス化ガスとして二酸化炭素を同時に流通させた場合、生成タールの分解が促進させるだけではなく、酸素担体の還元率も向上可能であることが明らかとなり、反応器内の温度制御とともに、酸化還元に関連するガス濃度の制御が極めて重要であることが明らかとなった。
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