研究課題/領域番号 |
22760596
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 信介 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30345920)
|
キーワード | ケミカルルーピング / 木質バイオマス / 酸化鉄 / 高効率エネルギー変換 |
研究概要 |
ケミカルルーピングプロセス実用化のために最も重要となる酸素担体の性状評価を行った。実験では、バイオマス原料と酸素担体を直接反応させることで懸念される、タールや炭素析出問題、さらには摩耗や繰り返しによる担体の劣化について検討を行うとともに、異なる酸素担体を作成し、酸素担体の反応率、反応速度の評価を行った。 原料と酸素担体の直接反応については、懸念されたタールによる反応率の低下は見られず、逆に酸素担体によるタールの分解効果が確認されたため、バイオマスのエネルギー変換効率が向上することが期待される。直接反応において酸素表面には炭素析出が確認され、酸素担体の反応率が低下することが明らかとなったが、木質バイオマスとともに二酸化炭素を同時投入することで、炭素析出を抑制することが可能であることが明らかとなった。酸素担体の摩耗率は1回のサイクルで約0.2%であり、摩耗率が比較的高いため酸素担体形状を工夫しなければならないことが分かった。ただし、サイクルを繰り返すごとに酸素担体の反応率が向上しているが、酸素担体の表面積増大等は確認されなかったことから、サイクルごとに反応活性が向上していることが示唆された。酸素担体に含まれる酸化鉄の量や酸素担体の製造方法を変えて担体を作成、評価行ったところ、従来ケミカルルーピングで用いられている酸素担体に比べて反応速度が速く、また反応率の高い酸素担体を作成することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
酸化鉄を用いた酸素担体の製造において予想以上に高性能な炭素担体を製造することに成功したため。
|
今後の研究の推進方策 |
ケミカルルーピングのホットモデルを作成し、実験を行う予定であったが、製造した酸素担体が予想以上に高機能であったため、その酸素担体を用いて木質バイオマスの直接反応実験、繰り返し実験を行い、新しく作成した酸素担体の評価を行う。
|