研究概要 |
本年度は,まずDNA結合ドメインを含む組換えNFkB(p50)発現用ベクターを複数構築し,大腸菌BL21(DE3)Rosetta2株を宿主として,それぞれタンパク質の発現を試みた.発現後の可溶化度を指標にスクリーニングに使用するコンストラクトを決定した.その後,精製タンパク質の量体構造を評価した上で,結合塩基配列を基に設計した(ビオチン化)デコイ核酸を用いたELISAによる相互作用解析を行った.その結果,PBS中においても十分な相互作用検出が可能であったが,特定の分子量を有するPEGを分子クラウディング剤として用いることによって検出感度が数倍向上することを見出した.さらに,6アミノ酸からなるペプチドを提示するT7ファージランダムペプチドライブラリーを新たに構築した.得られたライブラリーの多様性は1.2×10^7pfuであり理論上の最大ライブラリー数の約20%であった.このランダムペプチドライブラリーを用いて,2種類の相互作用形態によるバイオパニングを5サイクル行い,計80個のファージクローンを単離した. また,同様に構築した12アミノ酸を提示するT7ファージランダムペプチドライブラリーを用いた標的タンパク質(FoxP3)親和性ペプチドのスクリーニングについて,ファージライブラリーの前処理および作用させるファージの量がそれぞれ異なる3つの条件について検討を行った.それぞれ5サイクルのバイオパニングを行い,得られたファージ懸濁液から各40個のプラークを単離し,計120サンプルについてペプチドをコードする領域の塩基配列をダイレクトシーケンシングにより決定した.そして,ランダムライブラリー構築の際のコドン出現頻度を考慮し,実際に得られたファージの提示ペプチドを構成するアミノ酸の偏りについて解析したところ,疎水性アミノ酸および塩基性アミノ酸の出現頻度が高いことがわかった.
|