研究概要 |
本研究では、結晶性固体セルロースに対して高い糖化活性を示す好熱性嫌気性細菌Clostiridium thermocellum由来セルラーゼ・ヘミセルラーゼ超分子複合体(セルロソーム)を対象に、超分子型セルロソームの試験管内再構成を試みるとともに、各種セルラーゼ・ヘミセルラーゼを任意の酵素組成で超分子型セルロソーム上に提示出来るシステムの開発を目指す。平成22年度は、高分子量蛋白質の調製に適している無細胞蛋白質合成系を用いて、C.thermocellum NBRC103400(=ATCC27405)株由来セルロソーム構成酵素因子3種類(CelJ,CelK,CelS)と骨格蛋白質(CipA)の無細胞合成を行い、これまでに報告例の無かった全長骨格から成る超分子型セルロソームの試験管内再構成を行った。Native-PAGEによる複合体形成の確認後、結晶性固体セルロースを基質として酵素活性測定を行った結果、複合体形成により約2倍程度の酵素活性の上昇がみられたが、反応中に骨格蛋白質の切断が生じていたため、今後は、骨格蛋白質の安定性を注視しつつ、より多様な酵素因子から成る超分子型セルロソームの試験管内再構成を行ってゆく予定である。また、上記研究と並行して堆肥土壌メタゲノムを遺伝子プールとして、結合特異性の異なるセルロソーム結合部遺伝子の探索を行い、3種類の結合部遺伝子を単離した。今後、これらを用いて、高分子化能を持つミニ骨格蛋白質を構築し、高分子化骨格蛋白質を試験管内で再構成することで、任意の酵素組成から構成される安定な超分子型セルロソームの構築を行ってゆく予定である。
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