研究概要 |
極超音速希薄風洞においては, CCDカメラを用いた画像処理技術を導入することにより,釣り下げ式球模型の変位計測精度がレーザー変位計を使用した従来よりも2倍向上した.計算では,まずノズルから計測部全体の流れ場解析を行うために高圧部は連続体を仮定したCFD(Computational Fluid Dynamics)計算,低圧部はDSMC(direct simulation Monte Carlo)粒子計算と二種類の計算法をカップリングした解析手法を確立した.次に希薄風洞変位計測との比較精度を向上させるために気流と模型を融合したモデルを構築した.さらに,希薄流解析コードとして開発した2次元軸対称DSMCコードを3次元コードに拡張し,多次元的に変位分布を計算することを可能とした.以上の開発の結果,球模型の半径方向の変位分布を希薄風洞計測とDSMC数値計算で高精度に比較することが可能となった.これらの計測,計算双方の高精度化により,変位分布を比較する極超音速希薄風洞性能評価技術が向上した.流量が0.03g/sより低い場合,変位分布において良い一致が得られたが,高流量の場合は,境界層厚さ補正を行うことにより計測と計算で良い一致が得られた.その結果,生ガス(淀み温度290K)の希薄風洞流れ場は,流速740m/s,マッハ数10以上,クヌーセン数0.06~0.08であり,半径5mm以上の一様なコア流れを再生するためには流量が0.04g/s以上必要であることがわかった.また予備的な計算をした結果,マッハ数10以上,クヌーセン数0.1以上の双方の条件を満たすためには,ヒーターにより淀み温度を500K以上に加熱する必要があることがわかった.
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