研究課題
本研究では、人工衛星搭載用大型アンテナシステムの超高精度化を目指し、鏡面を悪化させる要因に関する検討を行うとともに、新しい軌道上形状制御手法を提案し、その実現可能性を検証した。まず鏡面悪化の要因に関して、近年の高精度展開アンテナシステムにおいて問題となっている展開非再現性に焦点を当て、ケーブルネットワークに起因する展開非再現性のモデル化を行うとともに、その有効性を数値解析、実験の両面から確認した。また軌道上での高精度な鏡面形状計測の難さから、これまで実現が困難であった軌道上形状制御を実現するため、次の2つの形状制御法を導出し、その有効性に関して検討を行った。方法1:従来のアンテナ鏡面の形状計測方法を用いることなく、送受信する電波の強度変化の情報を用いて制御入力を決定、鏡面形状を制御する。この方法では利用する電波の波長に応じた精度での形状制御が可能となる。方法2:計測精度要求は満たさないものの、多点での形状計測が可能な光学式形状計測手法を用いて計測された鏡面形状を基に、評価値(鏡面精度の自乗)を算出し、その評価値を用いて制御入力を決定、高精度な形状制御を実現する。この方法では多点での計測結果を用いることで、算出される評価値の計測誤差によるバラツキが低減されることを利用している。方法1に関して、平成24年度までに衛星搭載用アンテナを模擬した数値シミュレーションを実施し、その有効性を確認するとともに、平成25年度には提案手法を組み込んだ、形状調整機構を有するアンテナ試作モデルを設計、開発した。平成25年度にはさらに、主に方法2に関して、数値シミュレーションを実施するとともに、概念検討モデルを開発し、それを用いた有効性検証試験を実施、提案する制御方法の有効性を実証した。これらの研究の成果は、将来必要とされる衛星搭載用大型高精度アンテナの実現に向け重要な基礎技術となる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, Aerospace Technology Japan
巻: 10 ページ: Pc_59-Pc_65
10.2322/tastj.10.Pc_59