昨年度開発されたシステムである熱弾塑性解析によって得られた継手モデルの塑性ひずみ分布を用いて大型船体ブロックの溶接線与える.固有ひずみ解析手法を理想化陽解法FEMに導入し、GPUによる並列計算によりさらに高速に解析が行うことが出来るようになった。本年度は昨年度の大型ブロックモデルのおよそ2倍の自由度である60万要素、180万自由度の解析をおよそ2.5時間の計算時間で計算することができた。これは従来の1CPUでは2週間以上の計算時間を必要としたものである。PCクラスタを構築すると100台以上のPCを必要となると考えられるが、グラフィックボードを用いた並列化による計算であるため、1台のPCによる計算である。変形傾向は、従来の解析および実測と良好な一致を示した。 また、溶接による防撓パネルの座屈変形について検討を行うために四角形シェル要素による大変形項を考慮した固有変形解析手法の開発も併せて行った。板厚6mmの薄板を用いて、T継手の溶接実験を行い、画像計測により変形を計測した。パネル端部の面外方向変位を比較したところ、実験結果と良好な一致を確認することができ、さらに微小変形解析では再現することのできない座屈変形を精度よく予測できることが確認できた。さらに、車両運搬船の車両甲板部の溶接変形問題に適用し、従来では解析不可能な規模の計算を行うことが出来た。さらに、隅肉湾接における溶接方法によって座屈変形が大きく異なることを確認することが出来た。
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