昨年度までの研究に引き続き,相互干渉する翼帆周り流れの解明のため,周囲流れとその相互干渉問題を実験計測と数値解析を組合せた検証を実施した. 1.風洞試験計測:広島大学所有の吹出し型風洞試験装置を用いて新たな翼型模型を用いて検力実験を行い,これまでのNACA翼型模型で得られた計測結果との比較から,翼帆形状を変更した際の翼帆間干渉特性の変化について知見を得た. 2.乱流場の数値解析:翼帆列周囲の乱流場の解析では,これまでのLES法に比べて計算負荷の低いRANS(Reynolds Averaged Navier-Stokes Simulation)法を適用し,平均乱流場の予測を行った.これにより,乱流と粘性の影響を考慮した解析によるパラメータスタディを行い,各種パラメータが翼帆間の空力干渉に与える影響を明らかにした.また,それらのデータを基に,帆走性能評価の入力データとしてより高精度な翼帆空力特性データとなる翼帆列空力特性モデルを構築した. 3.帆走性能評価:上記RANS法による解析から得られた翼帆列の空力特性を入力とし,昨年度までに構築したEPP(Energy Prediction Program)による帆走性能評価を再度実施し,風力推進による燃費削減率の推定とその向上に向けた翼帆列空力特性の検討を行った.特に,高推力翼型による改良翼帆列では,推力とともに横力とヨーモーメントも増大するため,条件によっては斜航抵抗や舵抵抗の影響が無視できなくなることを示した.
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